■■ 神様の居ない宇〜第2章・箱庭の宇宙 最終話 ■■
ディアが死に、アルテナがディアを殺したんだと言ったレオルは自分の目の前で消失した。跡形も無く・・・・・・。
数々の疑問は残ったものの、アルテナにできることは何も無かった。
心にもやもやとした何かを残しながら彼女はその世界を去る。
ディアと出会ったその世界を・・・・・・・・・・・・・・。
それから数千年の時が流れた。
その間何度もレオルと出会い、闘った。
彼は何者かに力を与えられていた。
彼はアルテナをいまだ仇として見、その命をつけねらっていた。
それでもこの”アルテナの箱庭”の中である限りは、アルテナの方が強い。
何度と無く襲ってくるレオルを退けながら、アルテナは彼女を求めつづけている・・・・・。
初めての友人・・・・フィストであり、ディアであった魂。
いくつの星々をさまよっただろう。
見つけた!
彼女だ!!
アルテナは歓喜の表情を持ってその星に降り立った。
その星は少々変わった文明を持っていた。
二つの大陸と一つの島。東機械文明を、西は魔法文明を、そして中央の島はその二つの融合技術を。
彼女が住まうのは島の主都。
そうして、アルテナはそこで新しい生活を始める。
彼女はまだ知らない。
知っているのはたったの一人。万里絵瑠だけ。
ともに行動している結城にも、依頼者である女王にすら、万里絵瑠が何を考えているのか本当のところは知らないのだ。
「クスクスクス・・・・」
万里絵瑠が笑った。
「なにかいいことでもあったの?」
結城の問いに万里絵瑠は満面の笑顔で答えた。
「ボクの勘って結構当たるんだ☆ 始まるよ・・・一番楽しいショーだ」
「ショー?」
結城の眉がピクンと動く。疑問を口にするが万里絵瑠は答える気などさらさらない。
結城もそれを理解しているのだろう。それ以上は問いかけてこなかった。
「そう、ボクがこの手で女王を育てるんだ。きっとスッゴク楽しいよv」
絵瑠はクスクスと笑いながら眼下に広がる星を眺めた。アルテナが星に降りているのが見えた。
一瞬の変化。絵瑠の瞳が冷え、表情が消える。
「さぁ、キミの出番だよ。レオル・・・」
絵瑠はゆっくりとその視線をアルテナからレオルに移した。
彼は絵瑠の思ったとおりに動いてくれている。
新しい時代が始まる。
長い長い、物語の始まり。
その最初の舞台となる星、その名をサリフィスと言う・・・・。